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執筆者の写真popatootie

her... [は〜 (ため息)]

POWANT MAGAZINE(ポワンマガジン)も、無事に第二号を創刊することができまして、

見切り発車の一発屋になることは回避することができて、

ひとまずよかったなぁと思っているところです。

お買い上げいただいた皆々様、ほんとにすばらしいアンテナをお持ちでございます!

ひっそりと発行されているこの薄い本を発見していただき、誠にありがとうございます。


さて、zineのなかでも触れましたが、『her/世界でひとつの彼女』という映画を

みなさんご覧になったことがあるでしょうか?


赤い背景の中に、ボワっと青い目が光るこのポスターに惹かれ、

映画館に足を運んだ方もいるのではないでしょうか。


herの世界は一言で言うと近未来の恋愛のあり方で、

スマホのようなモバイル機器にインストールされた “バーチャル彼女” と

どういった恋愛を育んでいくかというストーリーになっています。


ちょっとうろ覚えなので間違いがあるかもしれませんが、

(それをブログに書くと言うw)

映画のワンシーンで、胸ポケットから出したその機器のカメラをONにしながら、

主人公が地下鉄の階段を降りるシーンがあったかと思います。


カメラはバーチャル彼女と同期しており、映ったものが彼女の学習になる(インプットされる)ということだったと思うのですが、

主人公が胸ポケットに話しかけながらステップを降りると、周りの人間も同じようにブツブツとバーチャル彼女に話しかけているというシーンです。

「(あ、俺だけじゃないんだ…バーチャル彼女持ちって……)」みたいな心の声が

今にも聞こえてきそうなシーンです。

私の脳内では確実に聞こえました。


バーチャル彼女も、ホログラムみたいに誰でも見られる映像だったら良いのですが、

そこはまだ設定中の近未来が追いつかなかったのか、モバイル機器の中だけに、声だけで存在しています。

なるほどスターウォーズの世界はまだまだ先なのか。



この声だけが他人に共有されるという出来事は、

現在生きている私たちの割と身の回りでも高頻度で起きています。


超主観でお話しますが、私は電車内の電話はそこまで気にならないものの、

街中の道路やお店の中で「ハンズフリーで電話してる人」が苦手です。


苦手というか、えっ独り言でか! という具合にめちゃくちゃびっくりしてしまうのです。


絶対に振り向いてしまいますし、独り言なのかハンズフリーなのか見極めるために2秒くらい凝視してしまいます。


独り言の場合も、さまざまな事情があるのでしょうが、

突然話し始めるその人に対して、えっ(わたしに)なんか言ってますか! というような気持ちにどうしてもなってしまうのです。



この前その事象が、仕事帰りに寄ったカレーうどん屋の店内で起こりました。


その人はハンズフリー+スマホのビデオ電話のコンボでした。

隣の席で、カレーうどんをずずっとすすりつつ、多分人間の彼女とビデオ電話をしていました。あちらには麺をすすってる彼氏の姿が、こちらにはその様子を見つめる彼女の姿が映っているわけです、というか、その様子を隣で確認できてしまったわけです。


正直びっくりしました。

この状況もとりあえず共有しとく……っていうことなのだと思います。


彼女が何喋ってるかは聞こえないのですが、画面の向こうでにこにこ微笑んでますし、

彼氏の方は「うん、いま頼んだw」みたいに会話してるわけです。


完全に二人だけの世界をカレーの薫るうどん屋に作り上げていて、

こそばゆいような蚊帳の外に放り出されたような妙な気持ちになりました。

その画面を覗くのはきっと色々とマナー違反となりそうですが、

気になってしまって私の麺は少々伸びました。



気になる・気にならない論争は、今別にどこかで勃発しているわけではないと思います。

勃発していないということは、ハンズフリーで道中急に話し始める人を見ても、

皆それほど動揺していないということなのでしょうか。


だってそういう機能あるし、使うじゃん? ということなのでしょうか。


書いてたらだんだんそんな気がしてきました。


小説なんか読んでいたらバカになるぞと言われていた時代がかつてあったように、

外で電話なんかみっともないと言われていた時代が(あったか知りませんが)あったかもしれないように、

ハンズフリーで会話する時代はもう、ぜんぜん全く誰も気にしない「普通じゃん?」の世界へ突入するのでしょう。


これは適応できない側の敗北なのです。笑


悔しいから彼氏ができたらやってみようかな。ハンズフリー電話。



(MARINO.S)



 


 



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